大阪地判平12.10.24「製パン器事件」
1.「のみ品」の解釈
特許法101条2号が、特許権を侵害するものとみなす行為の範囲を、その発明の実施「にのみ」使用する物を生産、譲渡等する行為のみに限定したのは、そのような性質を有する物であれば、それが生産、譲渡等される場合には侵害行為(実施行為)を誘発する蓋然性が極めて高いことから、その生産、譲渡等を規制しても特許権の効力の不当な拡張とならない趣旨に出るものであると解される。そして、このような観点から考えれば、その発明の実施「にのみ」使用する物とは、当該物に経済的、商業的又は実用的な他の用途がないことが必要と解するのが相当である。
2.外国譲渡を目的とする「のみ品」の違法性
「その発明の実施にのみ使用する物」における「実施」は、日本国内における実施に限られると解するのが相当である。
外国で使用されるものにまで特許権の効力を拡張する場合には、日本の特許権者が本来当該特許権によっておよそ享受しえないはずの外国での実施による市場機会の獲得という利益まで享受しうることとなり、不当に特許権の効力を拡張することになるというべきである。
平成8年(ワ)第12109号
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/896/012896_hanrei.pdf