知財判例メモ

自分用の備忘録として、知財の主要判例や、実務に役立ちそうな裁判例などをまとめていきます。理解しやすさを重視して、自分の理解の範囲内で表現を変更している箇所があります。正確な内容を知りたい方は、判決文をご確認ください。

知財高判平30.10.17「ステーキの提供システム事件」

特許取消決定の取消しを求めた審決取消訴訟において、発明該当性が肯定され、審決を取り消した事例 本件特許発明(訂正後の請求項1、下線は訂正箇所) 【請求項1】 A お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステッ…

最判平11.4.16「膵臓疾患治療剤事件」

第三者が、特許権の存続期間中に、特許権の満了後に製造販売することを目的として、後発医薬品について薬事法14条所定の承認申請に必要な試験を行うことは、69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たり、特許権の侵害とはならない。 理由 …

最判平4.4.28「高速旋回式バレル研磨法事件」

再度の審決取消訴訟において、取消判決の拘束力に従ってされた第2次審決の認定判断が誤りであることを裏付けるための新たな立証をし、更には裁判所がこれを採用して違法とすることは許されない。 審決取消訴訟において審決取消の判決が確定したときは、再度…

最判平29.7.10「シートカッター事件」

特許権者が、事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず、その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは、訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情がない限り、…

最判平7.3.7「磁気治療器事件」

実用新案登録を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利を目的とする実用新案登録出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に、右共有者の提起する審決取消訴訟は、共有者が全員で提起することを要するいわゆる…

最判平29.2.28「エマックス事件」

1.除斥期間経過後の特許法104条の3の抗弁の可否商標法4条1項10号該当を理由とする無効審判請求がされないまま商標登録から5年を経過した後は、当該商標登録が不正競争の目的で受けたものである場合を除いて、商標権侵害訴訟の相手方は、その登録商標が同…

最判平12.7.11「レールデュタン事件」

1.「他人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれがある商標」 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品等に使用したときに、当該商品等が他人の商品等に係るものであると誤信…

最判昭63.7.19「アースベルト事件」

実用新案登録出願人が出願公開後に第三者に対して実用新案登録出願に係る考案の内容を記載した書面を提示して警告をするなどして、第三者が右出願公開がされた実用新案登録出願に係る考案の内容を知った後に、補正によって登録請求の範囲が補正された場合に…

最判昭55.1.24「食品包装容器事件」

審判の手続において審理判断されていた刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断するにあたり、審判の手続にはあらわれていなかった資料に基づき当業者の出願当時における技術常識を認定し、これによって同考案のも…

最判平27.6.5「プラバスタチン事件」

1.PBPクレームの技術的範囲 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても、その特許発明の技術的範囲は、当該製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物として確定されるものと解するの…

最判平9.3.11「小僧寿し事件」

商標権者は、損害の発生について主張立証する必要はなく、権利侵害の事実と通常受けるべき金銭の額を主張立証すれば足りるものであるが、侵害者は、損害の発生があり得ないことを抗弁として主張立証して、損害賠償の責めを免れることができるものと解するの…

最判平11.7.16「生理活性物質測定法事件(カリクレイン事件)」

1.方法(単純方法)の発明の特許権の効力 方法の発明と物を生産する方法の発明とは、明文上判然と区別され、与えられる特許権の効力も明確に異なっているのであるから、方法の発明と物を生産する方法の発明とを同視することはできないし、方法の発明に関す…

最判平29.3.24「マキサカルシトール事件」

出願人が、特許出願時に、特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、対象製品等に係る構成を容易に想到することができたにもかかわらず、これを特許請求の範囲に記載しなかった場合であっても、それだけでは、対象製品等が特許発明…

最決平12.2.24「パチスロ機事件」

本件商標は、本件CPUが主基板に装着され、その主基板がA(パチスロ機)に取り付けられた後であっても、なお本件CPUについての商品識別機能を保持していたものと認められるから、前記起訴に係る被告人らの各行為について、商標法(前記改正前のもの)78条の商…

最判平17.7.14「eAccess事件」

拒絶審決取消訴訟係属中に分割出願がされ、原出願に特施規30条の補正がされたときには、その補正は68条の40に規定する補正ではないから、遡及効は与えられない。 memo つまり、原出願中の拒絶理由のある指定商品・役務を削除補正しても、原出願の拒絶理由を…

最判平15.2.27「フレッドペリー事件」

商標権者以外の者が、我が国における商標権の指定商品と同一の商品について、その登録商標と同一の商標が付された物を輸入する行為は、以下の3つの要件を満たす場合には、真正商品の並行輸入として、商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと解される。 …

最判平3.4.23「シェトワ事件」

不使用取消審判の審決取消訴訟においては、登録商標の使用事実の立証は、事実審の口頭弁論終結時に至るまで許される。 理由登録商標の使用事実の存否の判断資料の収集について商標権者にも責任の一端を分担させ、審判官の職権による証拠調べの負担を軽減させ…

最判昭43.2.27「氷山印事件」

商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずる恐れがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、…

最判昭54.4.10「ワイキキ事件」

3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、以下の理由による。 取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当ではないこと 一般的に使用される標章であって、…

最判昭61.1.23「GEORGIA事件」

3条1項3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するためには、必ずしも当該指定商品がその土地において現実に生産又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、その土地で生産又は販売…

最判昭51.3.10「メリヤス編機事件」

審決取消訴訟において審決の違法性が争われる場合には、専ら当該審判手続において現実に争われ、かつ、審理判断された特定の無効原因に関するもののみが審理の対象とされるべきであり、それ以外の無効原因については、審決取消訴訟において審決の違法自由と…

知財高判平18.8.24「ピアノ補助ペダル事件」

意匠法10条の2第1項の「二以上の意匠を包含する意匠登録出願」にいう「意匠」は、参考図等において意匠登録を受けようとしない意匠として示された意匠を含まず、もとの出願において意匠登録を受けようとする意匠のみを意味すると解するのが相当である。 理由…

最判平14.9.17「mosrite事件」

審判において特許法153条2項所定の手続を欠くという瑕疵がある場合であっても、当事者の申し立てない理由について審理することが当事者にとって不意打ちにならないと認められる事情があるときは、上記瑕疵は審決を取り消すべき違法には当たらないと解するの…

最判平14.2.22「ENTIES事件」

商標権の共有者の1人は、共有に係る商標登録の無効審決がされたときは、単独で無効審決の取消訴訟を提起することができる。 理由 取消訴訟の提起は、商標権の消滅を防ぐ保存行為に当たるから、共有者の1人が単独でもすることができるものと解される。 商標…

最判昭61.10.3「ウォーキングビーム炉事件」

1.事業の準備 79条にいう「事業の準備」とは、特許発明の内容を知らないで同じ内容の発明をした者又はこの者から知得した者が、その発明につき、いまだ事業の実施の段階には至らないものの、即時実施の意図を有しており、かつ、その即時実施の意図が客観的…

大阪地判平12.10.24「製パン器事件」

1.「のみ品」の解釈特許法101条2号が、特許権を侵害するものとみなす行為の範囲を、その発明の実施「にのみ」使用する物を生産、譲渡等する行為のみに限定したのは、そのような性質を有する物であれば、それが生産、譲渡等される場合には侵害行為(実施行…

最判平19.11.8「インクタンク事件」

特許権の消尽により特許権の行使が制限される対象となるのは、飽くまで特許権者等が我が国において譲渡した特許製品そのものに限られるものであるから、特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ、それにより当該特許製品と…

最判平9.7.1「BBS並行輸入事件」

1.国内消尽特許権者等が国内において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品については、特許権はその目的を達成したものとして消尽し、その特許権の効力は当該特許製品には及ばない。理由 仮に、譲渡ごとに特許権者の許諾を要するとなれば、市場におけ…

最判平10.2.24「ボールスプライン事件」

特許請求の範囲に記載された構成中に、対象製品と異なる部分が存する場合であっても、以下の要件を満たすときは、対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成の均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解される。 当該部分が、発明の本質的…

最判平3.3.8「リパーゼ事件」

発明の要旨認定は、特段の事情のない限り、特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、あるいは、一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載…