最判平4.4.28「高速旋回式バレル研磨法事件」
再度の審決取消訴訟において、取消判決の拘束力に従ってされた第2次審決の認定判断が誤りであることを裏付けるための新たな立証をし、更には裁判所がこれを採用して違法とすることは許されない。
- 審決取消訴訟において審決取消の判決が確定したときは、再度の審理・審決は行政事件訴訟法33条1項により取消判決の拘束力が及ぶ。
- この拘束力は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであるから、審判官は取消判決の認定判断に抵触する認定判断をすることは許されない。
- したがって、再度の審判手続きにおいて、取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断が誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返すことや、主張の裏付けのための新たな立証を許すべきではない。
- 審判官が取消判決の拘束力に従ってした第2次審決は、その限りにおいて適法であり、再度の審決取消訴訟で違法とすることができないのは当然である。
事件の経緯
X:無効審判請求人、 Y:特許権者
- 第1次審決:請求認容審決(特許無効)
→ Yが審決取消訴訟を提訴
→ 東京高裁:取消判決[確定] - 第2次審決:取消判決の拘束力に従って請求不成立審決(特許維持)
→ Xが審決取消訴訟を提訴
→ 東京高裁:取消判決(審決には認定の誤りがある)
→ Yが上告
昭和63年(行ツ)第10号 審決取消
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/763/052763_hanrei.pdf