知財判例メモ

自分用の備忘録として、知財の主要判例や、実務に役立ちそうな裁判例などをまとめていきます。理解しやすさを重視して、自分の理解の範囲内で表現を変更している箇所があります。正確な内容を知りたい方は、判決文をご確認ください。

最決平12.2.24「パチスロ機事件」

本件商標は、本件CPUが主基板に装着され、その主基板がA(パチスロ機)に取り付けられた後であっても、なお本件CPUについての商品識別機能を保持していたものと認められるから、前記起訴に係る被告人らの各行為について、商標法(前記改正前のもの)78条の商標権侵害の罪が成立するとした原判決の判断は、正当である。

 

 最高裁が是認した原審の判断>

商標の付された商品が、部品として完成品に組み込まれた場合、その部品に付された商標を保護する必要性がなくなるか否かは、商標法が商標権者、取引関係者及び需要者の利益を守るため商標の有する出所表示機能、自他商品識別機能等の諸機能を保護しようとしていることにかんがみると、完成品の流通過程において、当該部品の付された商標が、その部品の商標として機能を保持していると認められるか否かによると解すべきである。
そして、その判断にあたっては、商標の付された商品が部品として完成品に組み込まれた後も、その部品が元の商品としての形態ないし外観を保っていて、商標が部品の商標として認識される状態にあり、かつ、部品及び商標が完成品の流通過程において、取引関係者や需要者に視認される可能性があるか否かの点を勘案すべきと解される。

 

平成8年(あ)第342号商標法違反被告事件

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/226/051226_hanrei.pdf

[原審]平成7年(う)228号 大阪高判平8.2.13

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/244/022244_hanrei.pdf