知財判例メモ

自分用の備忘録として、知財の主要判例や、実務に役立ちそうな裁判例などをまとめていきます。理解しやすさを重視して、自分の理解の範囲内で表現を変更している箇所があります。正確な内容を知りたい方は、判決文をご確認ください。

最判平17.7.14「eAccess事件」

拒絶審決取消訴訟係属中に分割出願がされ、原出願に特施規30条の補正がされたときには、その補正は68条の40に規定する補正ではないから、遡及効は与えられない。

 

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つまり、原出願中の拒絶理由のある指定商品・役務を削除補正しても、原出願の拒絶理由を解消することはできない。そのため、拒絶審決取消訴訟係属中は、拒絶理由のない指定商品・指定役務を助け出すための分割ができるだけ

平成16年(行ヒ)第4号 審決取消請求事件

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/418/052418_hanrei.pdf

最判平15.2.27「フレッドペリー事件」

商標権者以外の者が、我が国における商標権の指定商品と同一の商品について、その登録商標と同一の商標が付された物を輸入する行為は、以下の3つの要件を満たす場合には、真正商品の並行輸入として、商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと解される。

  1. 当該商標が、外国における商標権者又は商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであること
  2. 当該商標が、我が国の登録商標と同一の出所を表示していること
  3. 我が国の商標権者が直接又は間接に品質管理を行いうる立場にあり、品質に実質的な差異がないこと

 

平成14年(受)第1100号 損害賠償、商標権侵害差止等請求事件

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/352/052352_hanrei.pdf

 

最判平3.4.23「シェトワ事件」

不使用取消審判の審決取消訴訟においては、登録商標の使用事実の立証は、事実審の口頭弁論終結時に至るまで許される。

 

理由
登録商標の使用事実の存否の判断資料の収集について商標権者にも責任の一端を分担させ、審判官の職権による証拠調べの負担を軽減させたものであり、商標権者が審決時に使用事実を立証したことをもって取消しを免れるための要件としたものではない。

 

昭和63年(行ツ)第37号 審決取消

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/768/052768_hanrei.pdf

 

最判昭43.2.27「氷山印事件」

商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずる恐れがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である。

 

昭和39年(行ツ)第110号 商標登録出願拒絶査定不服抗告審判審決取消請求事件

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/940/053940_hanrei.pdf

 

最判昭54.4.10「ワイキキ事件」

3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、以下の理由による。

  • 取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当ではないこと
  • 一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであること

 

商品の産地・販売地その他の特性について誤認を生じさせるか否かは、4条1項16号の問題であり、3条1項3号の問題ではない。

 

 昭和53年(行ツ)第129号

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/288/034288_hanrei.pdf

 

最判昭61.1.23「GEORGIA事件」

3条1項3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するためには、必ずしも当該指定商品がその土地において現実に生産又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、その土地で生産又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りる。

 

昭和60年(行ツ)第68号

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/302/034302_hanrei.pdf

最判昭51.3.10「メリヤス編機事件」

審決取消訴訟において審決の違法性が争われる場合には、専ら当該審判手続において現実に争われ、かつ、審理判断された特定の無効原因に関するもののみが審理の対象とされるべきであり、それ以外の無効原因については、審決取消訴訟において審決の違法自由として主張し、裁判所の判断を求めることを許さないとするのが法の趣旨である。

 

審決の取消訴訟においては、抗告審判の手続において審理判断されなかった公知事実との対比における無効原因は、審決を違法とし、又はこれを適法とする理由として主張することができない。

 

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理由づけとしては、「訴訟の前段階において専門行政庁による慎重な審理判断を受ける利益」を害さないためと解されている(判例百選第4版)。

 昭和42年(行ツ)第28号 審決取消請求

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/170/053170_hanrei.pdf