知財判例メモ

自分用の備忘録として、知財の主要判例や、実務に役立ちそうな裁判例などをまとめていきます。理解しやすさを重視して、自分の理解の範囲内で表現を変更している箇所があります。正確な内容を知りたい方は、判決文をご確認ください。

最判平14.9.17「mosrite事件」

審判において特許法153条2項所定の手続を欠くという瑕疵がある場合であっても、当事者の申し立てない理由について審理することが当事者にとって不意打ちにならないと認められる事情があるときは、上記瑕疵は審決を取り消すべき違法には当たらないと解するのが相当である。


理由

  • 153条2項の趣旨は、当事者の知らない間に不利な資料が集められて、何ら弁明の機会を与えられないうちに心証が形成されるという不利益から当事者を救済するための手続を定めたものである。
  • しかし、当事者の申し立てない理由を基礎づける事実関係が当事者の申し立てた理由に関するものと主要な部分において共通し、しかも、職権により審理された理由が当事者の関与した審判の手続に現れていて、これに対する反論の機会が実質的に与えられていたと評価しうるときなど、職権による審理がされても当事者にとって不意打ちとならないと認められる事情のあるときは、意見申立ての機会を与えなくても当事者に実質的な不利益は生じないということができる。

 

平成13年(行ヒ)第7号 審決取消請求事件

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/097/076097_hanrei.pdf