知財高判平18.8.24「ピアノ補助ペダル事件」
意匠法10条の2第1項の「二以上の意匠を包含する意匠登録出願」にいう「意匠」は、参考図等において意匠登録を受けようとしない意匠として示された意匠を含まず、もとの出願において意匠登録を受けようとする意匠のみを意味すると解するのが相当である。
理由
- 参考図に示された意匠は、必ずしも意匠登録を受けようとする意匠のように所定の様式に従って厳密に記載された図面によって示されているものでなく、意匠登録を受けるため、意匠に係る物品を明らかにしているわけでもないから、この意匠を意匠制度の下で保護することが予定されているということはできない。
- 単なる参考のために記載された図面中の意匠について、出願日遡及効を有する分割出願を認めることは、一定要件の下に登録して排他的・独占的な保護を与えるという意匠制度の趣旨に反するだけでなく、不当に出願日遡及効が認められる範囲を広げ、第三者及び公益を不当に害するものとなる。
平成18年(行ケ)第10136号 審決取消請求事件
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/461/033461_hanrei.pdf